広告会社勤務の主人と女優業の夫人という言わば都会業の施主夫妻が安住の地に選んだのは、まだ田園風景の残る郊外の町だった。 施主が「ショートケーキ」と表現するプレーンで普遍的な家を、我々は白亜の塗り壁とナチュラルなローズウッドから成る抽象的な空間で応えた。 リビングのある1階は間仕切りを極力無くし、オープンで彫刻的な階段を家の中心に据え、家族の気配をどこにいても感じられる詩的な家を目指した。 オープンキッチンからリビングへ繋がったウッドデッキには生垣を設けず、隣家の庭の木々を借景しているのだが、それによって隣人どうしの挨拶の機会が増えた。 今ではウッドデッキスペースはかつての縁側のように、近隣住人とのコミュニケーションの場となり、都会では失われてしまった、地域社会が生む喜びや安心のある生活をもたらしている。
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